涙のシャンプー

私の仕事は 幸のおつかい

けれど、そんな不安をよそにお客様は訪れる。必死に向かった。
四週目の定休日、美容院にいくと、
かなり悪い状態、緊急施術をしたほうがいい。あなたはまだ若い、障害を手に残して生きて
行くには長すぎる。
と、大学病院に紹介状を書かれ、そういわれた。
僕の友達の手の名医がいるから、直ぐに行ってください。
大学病院、二十歳で生死の境をさまよった時以来、久しぶりだった。順番を待っている間、
いろんな記憶がよみがえった。同じ病棟でがんの患者が病院に響き渡る声で、痛い痛い、と
叫んでいた。
となりのベットのきれいな透き道った肌のお姉さんが、ある日いなくなった。
白血病でなくなっていたのだ。
ふと見ると、私と同じぐらいの歳の女性がパジャマ姿で点滴のビンを持ちながら手を振って
いる。子供二人にまたね~と寂しそうに何度も振っている。
私はこうして元気に生きて、仕事ができていることに感謝した。
私の順番が来た。手の名医といわれる人は、私の手のレントゲン写真を見て、はさみぐらい
は動させた?
と、いった。バレていた。
私は今、大事な社員を抱えて経営をしている。休むことは絶対にできないだから手術はでき
ない。と答えた。するとあなたの事情は分かりました。あなたが落ち着いて施術ができるよ
うになった時にやりましょう。今度こそ、半年は絶対にてが使えないので、その期間をとっ
てください。
ただし、手術をしないと、必ず痛みと障害がのこりますょ。それまで待っています。
私には、なんだか変な自信があった。
どんな苦難も障害もまわりの人に支えられ、乗り越えてこられた。
そのためなら努力もできた。大丈夫、やっていける。
もっともっと人生を学び、もっともっといい出会いがあり、もっともっと努力し、もっとも
っと感謝して、お客様の笑顔が見たい。
私はいろんなことに気ずかない、浅はかな人間だ、いろんな人たちに、いろんな迷惑をかけ
てきた。けれど・・。
両親も周りの人もお客様もスタッフも、これまで出会ったたくさんの人に助けられ、こんな
私を許してくれた。人間だけしか与えられていない。人間愛を教えてくれた。
努力するって一生けんめいって、楽しい!
いろんな出会いのプレゼントと気ずきのプレゼントをくれる。笑顔があふれる。笑顔がみた
い。
だから、残された人生を頑張ろう。
私は、自分の道を、一生けんめい歩み続ける。

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