R)一杯のかけそば

R)一杯のかけそば
作文はね……お父さんが、交通事故で死んでしまい、
たくさんの借金が残 ったこと、お母さんが、
朝早くから夜遅くまで働いていること、
ボクが朝刊、夕刊の配達に行っていることなど……
ぜんぶ読みあげたんだ。
そして12月31日の夜、3人で食べた1杯のかけそばが、
とてもおいし かったこと。
……3人でたった1杯しか頼まないのに、
おそば屋のおじさん とおばさんは、ありがとうございました!
どうかよいお年を!って大きな 声をかけてくれたこと。
その声は……負けるなよ! 頑張れよ! 生きるんだ よ!
って言ってるような気がしたって。
それで淳は、大人になったら、お客 さんに、頑張ってね!
幸せにね!って思いを込めて、ありがとうございま した!
と言える日本一の、おそば屋さんになります。
って大きな声で読み あげたんだよ」
カウンターの中で、
聞き耳を立てていたはずの主人と女将の姿が見えない。
カウンターの奥にしゃがみ込んだ2人は、
1本のタオルの端を互いに引っ 張り合うようにつかんで、
こらえきれず溢れ出る涙を拭っていた。
「作文を読み終わったとき、

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