私の仕事は 幸のおつかい

私の仕事は 幸のおつかい

そのおばさんは毎日のようにこれは体にいいからと言っては、いろんなものを食べさせ
られた。かなり奇妙でまずいものもあった。
私は、命をもらった。
自分の成功のために努力をしてきた私だったが、これからはこのもらった命を人の役に
経つために使おう。
これまで、自分を支えてくれた人に感謝し、恩返しがしたかった。
一年後、そのおばさんは死んだ。
脳梗塞、あっけなかった。人の世話ばかりしていたおばさんは幸だっただろうか?。
お葬式の日、娘のように見送った。
いまから5年前、私は出店を考えるようになった。
電車の中から、建設中の新しいビルの垂れ幕に店舗募集中と書いてあった字が目に止ま
った。
見に行くと、不動産の怖そうなおじさんが出てきた。
私の目をじっと見た。
家賃、その他の保証金の話をはじめた。
私にはとても無理、そう思って帰ろうとした。
すると、そのおじさんは私に聞いた。
君は、なぜ結婚しないんだ?
私は、とっさに
お店を出すまで結婚しません。と言ってしまった。
次の日、電話でそのおじさんに直ぐ来いと言われた。
いくらだったら出せるんだ?。
と、怒った口調で言った。
〇〇円です。おじさんはわかった。
それから一か月後、お店をオープンした。
オープン日は、お客様からの花の山、足の踏み場もないほど。
忙しすぎて、てんてこまい、たくさんのお客様が駆けつけてくれ、最後のお客様が帰ら
れたのが夜中の12時だった。
私は、お客様の脳がすごい・・・と思った。

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